過去の先人に敬意を表すこと
歴史に残る思想を残した先人に敬意を表すとはどういうことなのか、わかっているようでわかったつもりでいたところ。
いまだに先人に敬意を表す態度や振る舞いについては、胸を張って自身があるとは言いづらい。
でも歴史に残る思想を残すには、半端な努力ではなく様々な反論をはねのけ、生存してきたということもまた事実。
それがとてもよくわかる本に出合った。
ケース・メソッドの理論と実際 ハーバード・ビジネス。スクールの経営教育
原題 The Case Method at the Harvard Business School
Malcolm P. McNair監修によるものだ。
HBSによって発展したケースメソッドの、そのまさにアイデアが生まれたときに関わっていた人々が序文や記事を書いており、経営問題に対する思考する力を養うために苦心して手法を創り上げたことがまざまざと読み取れる。
いかに経営をリードする人材を育成するために、この手法を築き上げることに情熱がそそがれたか、それは文章からあふれ出ている。
ケースメソッドという言葉で、単にケースを使った教育手法が横行することへのけん制として「下手に使われるケースメソッドは学術上の大汚点でしかありえない」と強烈な警告もしている。
この文章を読んだら、ケースメソッドという言葉を安易に使おうとは到底思わない。
こうした強い主張・思いが見える本はとても学びが大きい。どんな本に出合うかがその人を形成するということが言われるが、まさに気持ちが引きしまる思いであった。